猪崎鼻の堆積構造とは
猪崎鼻(いざきばな)は,宮崎県南部の日南市にある日向灘に突き出した小さな岬である。
ここは、4000~2200万年前に,海洋プレートの沈み込みに伴って付加された日南層群(にちなんそうぐん)とよばれる砂岩泥岩互層が露出する場所である。
猪崎鼻では,混濁流といわれる特徴的な堆積構造や深海底での堆積環境を示す生痕化石や,海底地滑りに伴うスランプの構造などの堆積構造がみられる。
位置
九州宮崎県日南市の下側
〒889-3143 宮崎県日南市下方
国指定天然記念物 猪崎鼻の堆積構造
案内板の内容
猪崎鼻一帯の地層は、かって海底であった。現在目にする海岸の断崖地層は、今から
4,000万年〜2,200 万年前に海底で発生した大規模な地すべりによって堆積したもので、
四万十果層群の日南層群に属する砂岩と泥岩の互層で構成されている。猪崎鼻の周囲は、海面からの高さ約10〜20mの海食崖になっており、堆積時に発生した乱泥流 (※1) や
堆積後の脱水に伴う水流、砂泥の移動によってできるダイアピル (※2) などの特徴的な
堆積構造が多数見られる。また、ここでは、多種多様な生痕化石 (※3) が発見され、当時深海底で生活していた生物の典型的な化石産地として注目されている。
猪崎鼻では、
多種多様な堆積構造や生痕化石が見られることから、日本列島の生い立ちに関する古環境や堆積の仕組みを知るうえで大変貴重な場所である。とりわけ、猪崎鼻に広域に分布する砂岩層の底面にみられる流痕(※4) の規模と保存の良さは、日本国内では他に類をみないことから、国指定天然記念物となった。
猪崎鼻の風景
猪崎鼻の朝
泥岩質の堆積岩の露頭が見られます。
四万十帯の付加体と同様だと考えられているそうです。
猪崎鼻の堆積岩
多種多様な堆積構造・生痕化石、特に砂岩層の底面にみられるフルートキャストの規模と保存が良いそうです。